アーユルヴェーダ薬膳ライフ58/ピンクの薬水について
南インドにはアーユルヴェーダの薬水と言われる飲み物があります。果物のザクロのような、透き通った美しい桃色をしているので『ピンクウォーター』とも呼ばれます。主にアーユルヴェーダが発展したケララ州で飲まれています。
ホテルやレストランではあまり見られず、家族が代々飲んでいたり、アーユルヴェーダ病院の院長家系に飲む習慣があれば患者に出している、食堂でも経営者に飲用の習慣があり店にも置いている。ひと地域全ての習慣という訳でもなく、隣の家は飲んでいるけど我が家にはそういう習慣はない、という感じの飲み物のようです。
それがどこでアーユルヴェーダと繋がったのか私もよく解りません。留学した病院では入院患者さんには出していませんでしたし、授業の中にもピンクウォーターの話はありませんでした。
初めてピンクウォーターと出会ったのは、卒業して一年後、ケララ州に住むドクターの家に遊びに行った時でした。そこで二週間ほどホームスティをさせて頂きました。朝、ドクター一家がまるで化学色素で染めたようなピンクの液体を飲んでいて驚きました。アーユルヴェーダ医師の一家なら、朝は白湯だと思っていたのです。
「それは、何ですか?」と訊く、「アーユルヴェーダドリンクだ」と言いました。
ドクターのお母さんがコップに一杯ついでくれました。それは水飴の様な色だったので甘いドリンクかと期待していましたが、全くの無味無臭、色のついた白湯という感じでした。
日本に戻り、ピンクウォーターについて調べてみました。『スオウの木』を刻み煮出した飲み物。原産はインドやマレーシア。それが中国に渡り『蘇芳』または『蘇木』と漢字化。日本には飛鳥時代に渡り、貴族たちの着物の染色に使われ『蘇芳染め』として定着。従って日本では飲用物にはならなかったようです。南インドの一部に飲む習慣があり、抗酸化、抗菌、抗ガン、糖尿病に効果があるとの事。
栄養学的に言うと植物の持つ『フィットケミカル』の活用だろうと思います。フィットケミカルは植物の色、香り、苦味や渋味といった味の成分。空気中には酸素や二酸化炭素、ヘリウムなどのガスの他に活性酸素という細胞を傷つける悪玉酸素もあります。呼吸をするあらゆる生物は、酸素と共に活性酸素も一緒に吸い込みますので、体内の防衛システムとして、細胞を傷つけられないように抵抗力を備えています。植物の抵抗力つまり抗酸化力は香りや色素に含まれています。
ピンクウォーターのピンク色は植物の抗酸化力。それを人間が自分の抗酸化力に活用している訳です。恐らく、大昔の知恵ある人が飲み始め、やがてケララ州のアーユルヴェーダ医学が取り入れたものでしょう。
蘇芳の色素は『ブラジリン』という黄色でこれが空気中で酸化されて赤色に変化するようです。抗酸化力を持つ植物は身近な所にたくさんあります。
例えば
茄子や葡萄の皮・紫玉葱→アントシアニン(紫色)
人参やトマト→ベータカロチン(赤色)
南瓜やミカン→キサントフィル(黄色)
ビーツやほうれん草の根元→ベタシアニン(赤色)
等々
この様な植物色素を使ってオリジナルのピンクウォーターやイエローウォーター、グリーンウォーター等を作ってみませんか。色素に香りのあるスパイスを加えることで抗酸化力はさらに高まります。つまり植物の香り(アロマ)にも抗酸化力があるからです。
今、私がはまっているオリジナルピンクウォーターをご紹介します。
赤いビーツ茶のTパックで手軽に面白いものができます。
ビーツ茶はハーブティーの品ぞろえの良い店に製品として売られています。
作り方 (2人分)
1)ビーツ茶1パックを500mlくらいの沸騰水に入れ、鍋蓋をして10分で鮮やかなビーツの赤水になります。
2)クミン、シナモン、ジンジャー等のスパイスを入れて再沸騰させる。
または、そのまま耐熱ティーカップに注ぎミントやバジル等のハーブを入れる。
2月は寒くて鮮やかな花もない季節。赤い宝石ルビーのような美しい飲み物と、心癒される香りでテンション上がりますよ~。(^◇^)/
❂講座のご紹介
・インド文化を楽しむセミナー 「南インド舞踊 神話を語る 太古の踊り」
日 時:2月11日(日) 19:00〜20:30
場 所:クレオ大阪中央館3階 和室
・アーユルヴェーダセミナールーム 「ayucafe」
日 時:2月25日(日) 10:00〜11:30
場 所:クレオ大阪中央館3階 会議室
・アーユルヴェーダヨガ瞑想会
日 時:3月9日(土)18:30〜20:30
場 所:クレオ大阪中央館3階 和室
お会いできるのを楽しみにしております。(^◇^)/
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