アーユルヴェーダ薬膳ライフ37/ 恋せよ乙女

「鯉のぼりのお母さんは、どうしてイカなの?」

幼い頃、5月の青空を見上げて私は聞きました。

背中を向けて掃除をしていた母は振り返り、

「イカなんて、どこにいるの?」と言いました。

大きい真鯉がお父さん、小さい緋鯉は子供たち。残るはポールの先端で、ヒラヒラはためく5色の布しかない。とても魚には見えない。想像力を駆使して言うのなら、それは紛れもなくイカ。

母は笑いながら手に持したハタキを、鯉のぼりの方に向け「あれは吹き流しと言ってね…」と教えてくれましたが、よく解りませんでした。その代わり私は、ハタキの先端のヒラヒラした布の下に魚を3匹くっつけた物が、鯉のぼりの原型に違いないと確信したのでした。(#^.^#)ハハハ〜。

さて、今日は「鯉」ではなく「恋」のお話し。恋愛とはこの様にあって欲しいと、

常々願っているインド恋愛指南版です。(^◇^)

インド人のアイーシャはひと月ほど前に、私の住んでいる3階建てマンションに引っ越してきました。ぱっちりとした目が印象的。まだ、女学生のような清楚で愛らしい人でした。マンションは民間の住居でしたが、通産省が関西地区の共同研究のため、海外から招いた研究員の滞在先として10戸ほど借り上げていました。よって常に世界中から研究員が来て、半年から2年の契約期間を滞在していました。

アイーシャはインドの研究所で働いていた頃、同じ職場に好きな人がいました。二人は愛し合っており、結婚するつもりでいましたが、双方の両親は大反対。理由は彼がキリスト教徒。アイーシャはヒンズー教徒で信仰が合わなかったのです。アイーシャの父親は研究所に力があり、彼を日本の研究所に赴任させました。1年も離れさせたら、娘も諦めると思ったようです。

ところがアイーシャは自分の研究論文を日本の研究所に送り、半年契約で採用されると、インドの研究所をさっさと辞めて日本に来たのでした。彼は埼玉県の理化学研究所にいます。週末には遊びに来て、二人仲良く過ごしているのをよく見かけました。彼は礼儀正しい好青年で、私は心から二人を応援していました。

ピンポーン。

とインターホンの音がして、アイーシャとの話は途切れました。

「はい」と私が返事をすると「Hello, I am Helen」というので、一瞬まずい!

と思いました。スウェーデン人のヘレンは良い人ですが、一言多い。

しかし、アイーシャが先に遊びに来ており、成り行き上、二人を紹介しないわけにはいかない。

「Nice to meet you, I am Iysha.(初めまして、アイーシャです)」

「Hi,  Helen.(ハーイ、ヘレンよ)」

しばらく、二人はお互いの研究の事など話していましたが、突然ヘレンが

「私は肌の色について、何も気にしていないから」と言いました。

「えっ!」

わざわざ、ここでそんな話をしなくても。私が言葉に詰まっていると、アイーシャはすかさずこう言いました。

「そうね、ジャングルで虎に出会ったら肌の色が白でも黒でも、エサはエサだわ」

Nice切り返し! 素晴らしい!

吹き出した私は「イエローもエサね」と言い、3人でケラケラと笑いました。

それから私たち3人はよく買い物や食事に出かけました。アイーシャは豊かな知性と行動力のある聡明な女性でした。しかし、たった一つ誤算がありました。半年の契約期間が切れた時、彼と二人でインドに戻り、結婚する。彼は研究所で働き、アイーシャは専業主婦になるつもりでした。この半年間、海外で二人やってきたのだから、二人の気持ちを双方の親も認めてくれると思っていたのです。しかし、彼の次の赴任先はアメリカ。アイーシャは一人、インドに戻ることになりました。

ピンポーン。

ドアを開けるアイーシャ。泣いていたのか瞼が赤く腫れ、ぱっちりした目がつぶらな瞳になっています。がらんとした部屋には青いスーツケースと大きなカバンがありました。

「ア、アイーシャ、荷造りは済んだの?」とヘレン。

「両親の家に戻るのでしょう。顔を合わせるの、辛いね。大丈夫?」と私。

「うん、仕方がない」とうつむくアイーシャ。

「アメリカに行けばいいのよ、彼と一緒に。できちゃった婚の方が手っ取り早いでしょ」とヘレン。

「だめだめ、それは無理。彼の家族が嫁として認めてくれない。双方の両親が参列してキチンと式を挙げないとだめなの」と萎れていくアイーシャ。

インドとスウェーデンでは、女性を取り巻く社会環境が違う。インドでは女性一人では賃貸アパートも借りることができない。帰国したら父親の権力が絶対的な、インドの家族制度に従うしかない。アイーシャの抵抗もこれまでか。何の力にもなれない自分が情けない。。。

半年後、インドから手紙が来ました。アイーシャは「今、インドの高校で化学を教えています。両親からは縁談を迫られています」と辛い状況が綴られていました。

私は「彼を信じて頑張れ!」と返事を書きました。

数か月後、また手紙が来ました。

アイーシャは結婚した! 

ウェディング写真が添えられていました。

誰と?たくさんの輝く宝石と赤いサリーをまとったアイーシャ。

寄り添う白い礼服の新郎は、彼だ!!

わぁーっ、やったねー、アイーシャ。

「インドの教会で式を上げました。彼が彼の両親を説得しました。でも、私の両親は参列しませんでした」と書いてありました。その手紙はアメリカから来たものでした。インドで結婚し、今はアメリカに住んでいるのです。アイーシャの聡明さ、知性、行動力は高度な多様性を持つアメリカでこそ、その能力は発揮できると思いました。

早速、ウェディングカードを贈りました。

「おめでとう!アイーシャ。お幸せに。両親の事は心配いりません。子供ができたら、必ず向こうから会いにきます。孫の魅力は絶大です」と書き添えて。

5月の青空にそよぐ鯉のぼり。大きい真鯉は彼氏くん。小さい緋鯉は子供たち。アイーシャはもちろん、イカではない。

さあて、ひと昔前は「命短し恋せよ乙女」。今の乙女は人生100年時代。ときめく心は美と若さの源です。「恋せよ乙女。いくつになっても、幾度でも」(#^.^#)ハハハ〜。

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