アーユルヴェーダ薬膳ライフ42/天国と銅鑼(どら)

この夏は永久に終わらない!と叫びたくなるほど今年も暑かったですね。皆さま、お元気でお過ごしですか?朝夕が涼しくなってきました。涼しさついでに、幽霊のお話し。

お芝居に幽霊が出て来る時どんな音が流れるか、これはお国柄が出てなかなか面白い話題だと思う。日本では子笛と小鼓で『ひゅー、どろどろ』と言うのが伝統的。シェークスピア劇では壁から静かに浮き出て、いつの間にか立っている。インド人の友人は、鐘と答えた。船が出航する前に鳴らす銅鑼のように『じゃーん、じゃんじゃん』。ずいぶん、にぎやかに出るのね、と言うと、幽霊というのは目的があって出て来るのだから、存在感を見せなくてどうする?と言う返事。なるほど、一理ある。(#^.^#) 

以前、デカン高原のマイソールで泊まったホテルでイギリス人の男性と幽霊について話たことがあった。マイソールは国際空港のあるシェンナイから列車で7時間ほど行った所。イギリス植民地時代以前は、インド1,2の勢力を誇る藩主が君臨していた。まさにマハラジャ大国の一つ。このホテルはマハラジャの別荘で、本館は現在、宮殿博物館になっている。

(写真)マイソール宮殿博物館

長方形の建物はドアを開けると細密な彫刻を施したテラス風の通路になっている。夜、部屋からテーブルとイスを出してビールを飲んでいると、イギリス人の男が一緒に飲んでもいいかと言うので、O.Kだと答える。彼も椅子とビールを持って隣室から出て来た。どことなく、イギリスのチャールズ皇太子に似ている。何をしていたと聞くので、月を見てこの世に幽霊がいるかどうかを考えていた、と答える。インドでいろんな人に会ったが、そんな返事は初めてだと彼は驚いた。

「Do you believe ghost? (幽霊の存在を信じる?)」

「Ghost? No. (幽霊だって? 信じないよ)」

「じゃ、人は死んだらどうなるの?」

「みんな、キリストの身許に召される」

私はいささかガッカリした。かの偉大なシェークスピアを生んだ、お国柄にしてはあっさりした死後観だ。もっと、オリジナリティを期待していた。

私のは違う。まず、人が死んだら天国か地獄に行く。そこでしばらく骨休めした後、再び、地上に降りる(昇る?)。その時、再び人間になるか、牛やタンポポになるかは前世の行い次第。何故ならトコロテン式に出していかないと、天国も地獄も飽和状態になってしまう。輪廻転生は、そのためにある。天国か地獄か決まらず、順番待ちをしているのが幽霊。という事で説明がつかないだろうか。

そう言うと、彼はクックと笑って、それが東洋人の死後観なのか、と聞く。いや、私が現実的に考えたリサイクル死後観だと答えた。再利用で地球の環境に無駄がない。彼は「君は変わってるね」と言いながら大きな口を明けて笑った。そして、殻になったビール瓶にコップをかぶせ、今夜は面白い話を聞かせてもらって楽しかった。僕は一人旅が好きで、いろんな国に行っては、旅行記を書いてるんだ。こんな面白い話は書かずにはいられないよ。そう言いながら、自分の部屋に戻っていった。彼の背中を見送りながら「何を言うか、私は普通だ!」と心の中で言い返していた。

再び、テラスで一人になった。バルコニーの向こうは黒々とした樹海が広がっている。ぽっかりと浮かぶ満月。高栄養の卵の黄身のようだ。日本では月でウサギが餅をついていると言うけれど、インドでは何と言うのだろう。象が鼻でカレーを混ぜている。とでも言うのかな。熱そうだなぁ。

インド人の友人との会話を思い出した。幽霊は銅鑼の音で出て来る。天国か地獄か決まらず銅鑼を叩いて待っている私。さぞ、やかましいだろうな。こんな面白い話、やっぱり書かずにはいられない。ハハハ〜。(#^.^#)

講座のお知らせ

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